ライターという仕事に興味がありませんか。
大変で難しそうな職業ですよね。
そんなライターという仕事はどう成り立っているのかを、実際に素人がやってみた過程を赤裸々に紹介した本です。
ライター志望の素人が、プロのライターから、心構え、調査の仕方、取材の仕方、書き方を教わり成長していく過程がわかります。
素人ながら、ライターの仕事を受けて納品するまでの体験しているので、ライター業の疑似体験ができる良本となっています。
内容の紹介と感想
『読みたいことを、書けばいい。』『会って、話すこと。』の著者であるライターの田中泰延氏が、ライター志望の学生に、書く仕事のプロセスを教えていく過程を紹介する本です。
ある意味、ノンフィクション、ドキュメンタリー本ですね。
ライター志望の大学生は、本書の著者として名を連ねている直塚大成さん。
ライター志望ではありますが未経験の大学院生です。
オーディションにより67名から見事に選ばれたそうです、貴重な体験ができてうらやましいですね。
1年間かけて、ゼロから1人のライターとして成長する過程がありありと描かれていて、面白くタメになる一冊です。
この本を通じて分かったこと。
- 田中泰延さんはいつもふざけているけど、ちゃんとしたライターである
- 田中泰延さんのふざけは計算だった
- 直塚大成さんは素人であるが、最初から個性的な面白い文章書く人
本物(?)のライターを目指している
最近は個人が情報を発信しやすい世の中になっているのでライターを名乗る人が多いのではないでしょうか。 その大半はWebライターを名乗っている人だと思います。 しかし、本書は広義の本物(?)のライターを目指しています。
この1年間かけて行っている講義の内容には、国会図書館に出向いて一次情報をあたったり、本の著者に取材を行ったりという内容が組み込まれています。
Webライターを名乗っている人にはなかなかハードルが高いのではないかと思いました。
ライティングのテクニックを学ぶというよりは、ほんとにライターとしての仕事のプロセスを学ぶ本になっていると実感します。
なので、本来であれば少しずつステップを重ねてたどり着くであろう出版社からの仕事を受注することが課題として与えられています。 これはこれでうらやましい反面、責任重大ですね。
本書の学び
本書は、前述のとおり取材の準備からやり方、資料の調べ方などが紹介されておりとても興味深いものがあります。
調査したり人に聞いたりすることで、世間一般で言われているいわゆる「通説」が実は根拠がなかったりすることがあるそうです。
調べつくして、巷でよく聞く説とは違うものが見つかったときが「書ける」と見なしていいときなんだと。
なるほど、しかしライターではない私には少しハードルが高いので、書き方のコツというか考え方が学びになりました。
- 感動のへそ
- 静かな文章
- 素直に書く
感動のへそ
いい文章には「感動のへそ」がある。
感動のへそとは、書き手が一番心を動かされたこと、読者に一番伝えたいことです。
なかなか抽象的で表しずらいものですが、この「感動のへそ」が明確になっていて、これを軸に据えて構成することで、いい文章が作れるそうです。
書き手が誠実に素直に書くことで、読み手の心が動くんだそうです。
プロのライターは、こういったマインドをもって取り組んでいるんだなということがわかります。
上辺だけのライターはこういったことを意識できてないでしょうね。
静かな文章
いい文章とは「静かな文章」である。
静かな文章とは、主張が強すぎない文章のこと。 テーマについて調査して詳しくなっていったときに、それを「言いたい」と思って書くと「うるさい文章」になってしまいます。
調べて書く仕事をするときには、「言いたい」よりも「知りたい」欲求が勝っていないといい文章人ならないそうです。 これも考え方やマインドに近い話なので難しですね。
自己主張より読者が読みたいことを心がけるということですかね。 時には、あえて書かずに読者に委ねることも必要だそうです。
素直に書く
本書のいたるところに、「素直に書きなさい」と出てきます。
こちらも言うは易しですが、具体的にどうゆう風に書くと素直な文章になるかは難しいところですね。
気をてらった狙った文章を書いても、読者を置き去りにしてしまうので、わかりやすい文章を書きなさい、ということですかね。
また、「素直に書くこと」と「正直に書くこと」は違うそうです。
正直さとは、自分に意識が向いていて「自分に嘘がないこと」を重視していること。
一方で「素直さ」とは、社内に意識が向いていて、読者に響かせることを意識していること。
まとめ
本書は、ライター初心者が一人前のライターとなるまでの過程を描いた本です。 テーマ選び、調査の仕方、取材の仕方、書き方などプロのライターがどんなことをして執筆にあたっているかがわかります。 こうしてブログで文章を書いている身からすると、ライターという仕事の大変さが身に沁みます。
ライティングのテクニック教えてくれるというよりは、ライターとして働くうえでの心構えを中心に教えてくれます。
本気でライターを目指す人にはお勧めできる本であることは間違いないです。
本書冒頭では、「全人類対応」となっていますが…。
本書の目次
- 第1部「書く前」に知っておくべきこと
- 第1章 「書くこと」の基本
- 第2部 取材・執筆
- 第2章 準備する
- 第3章 取材する
- 第4章 書く
- 第3部 調べる、人に会う、執筆する
- 第5章 調べる
- 第6章 依頼する、会って話を聞く
- 第7章 構想を練る、書き上げる
著者の紹介
著者の田中泰延氏は、電通でコピーライター・CMプランナーとして24年勤務。
自称「青年失業家」としてフリーのライターとして活動。
初の著書『読みたいことを、書けばいい。』はベストセラーとなり、その後『会って、話すこと。』を上梓。
現在は、「ひろのぶと株式会社」を創業し経営者としても活躍中。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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