時代の移り変わりが激しい世の中で、今までのやり方では競争に勝ち残っていくことは難しくなっています。
そこで、企業はDX推進やIoT、AIを用いた業務効率化など変革が求められています。
その推進には、変革プロジェクトが発足しますが、そのプロジェクトを牽引するリーダーシップがある人財がいますでしょうか。
そんなリーダーを育てる方法が、本書には紹介されています。
本を読む時間がないという方は、耳で読書してみてはどうでしょうか。
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内容の紹介と感想
業務やビジネスを変革させるための「変革プロジェクト」。
通常の業務とは異なり、各部門の専門家たちを集めて一定期間、一つの目標に向かってチームを構築することです。
こういったプロジェクトでは、それを実行する企業が、著者の白川氏が所属しているケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのようなコンサル会社に依頼し、牽引してもらうことが良くあると思います。
本書は、「変革プロジェクト」をどうやったら成功に導けるか、のノウハウを紹介する本ではありません。
「変革プロジェクト」を成功に導くためのリーダーをどう育てていくか、の方法論を紹介する本です。
前者のような、どうやったらプロジェクトを成功に導けるのか、という本は意外と見かける気がします。
コンサル会社経験者が、所属していた会社でどんなやり方や考え方でプロジェクトを進めていたか、というようなノウハウが紹介された本ですね。
しかし本書は、コンサルを依頼されたクライアント側のリーダーを育たるためにはどうしたらよいか。
を論点に紹介しています。
なかなか見ない本ではないでしょうか、それゆえに価値があります。
著者の所属しているケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズでは、リーダーを育てる方法論を内に秘めずに公開し、世の中のリーダーを育てたいというマインドがあり感銘を受けます。
企業としてリーダーを育てたい、リーダーとして育ちたいという人。
コンサルタントとしてクライアントのリーダーを育てたいという人。
そんな方は、本書を読んでみてはどうでしょうか。
育つ変革プロジェクト10の原則
本書で紹介されている、育つ変革プロジェクト10の原則を紹介します。
- OWNERSHIP
リーダーシップを発揮すべき「自分の担当領域」を全メンバーが持つ - CHALLENGE
プロジェクトも個人も、はじめてのことに取り組む - OPINION
「オレはこう思う、こうしたい」の表明から始める - FACILITATION
他人の意見を引き出し、整理し、合意し、推進する - PROCESS
正解を知っていることよりも、前に進めるプロセス構築力を重視する - OPEN
情報を開示することが、助け合うことの第一歩 - TRIAL
まず試し、失敗して学ぶ - PEACE
OPINION、OPEN、TRIALの基盤は心理的安全性の確保 - FEEDBACK
「こう見えるよ」を譲り合い、自ら振り返る - RESPONSIBILITY & HAVE FUN!
「必ずやり遂げる責任感」と「たのしいからもっとやる」の両立
この中でも、TRIALとPEACEがとても重要と感じました。
互いに相関関係がある2つです。
TRIALは、失敗して学ぶことの重要性を問うています。
学生時代であれば答えのある問題と向き合っていたでしょう。
ルーチン化した業務でも、正解は見いだせるでしょう。
しかし、変革プロジェクトは誰もやったことがないことをやることなので、誰も正解はわかりません。
だから、まずやってみる。
それが失敗であっても、そこから学ぶことがあるんです。
この重要性が、TRIALですね。
そしてPEACE。
「平和」というよりも、心理的安全性という意味です。
このプロジェクトのメンバーであれば、本音で話ができる。
やったことがないことを試してみる。
ということができるという環境が整っていることが重要です。
失敗が許される、なぜなら全員チャレンジしているから。
そういった空気づくりをすることも、変革プロジェクトのリーダーとしては必要なんですね。
ゴール設定
育つ変革プロジェクトの作り方として、「ゴール設定」の重要性を本書では謳っています。
あいまいなゴールだと、後続の工程で必ず苦労することになります。
「このゴールを目指して進もう」言えるリーダーがいると、変革プロジェクトはうまく進むのでしょう。
変革プロジェクトのゴールは、プロジェクト開始時に明確に決まっているものから、漠然とした方針が出ているが、ゴールが不明確なものまで様々です。
とくに後者のような場合は、全員が納得するゴールを設定しないと、プロジェクトが迷走してしまいます。
ゴール設定の方法論が紹介されています。
紙に書いたり付箋を利用する方法です。
また、1泊2日などの合宿を開催するやり方も有効だそうです。
こういったやり方を、ケンブリッジのコンサルタントが最初は主導して、徐々にクライアントの会社の人に任せていくそうです。
社内で変革プロジェクトを発足しても、やり方がわからないので最初に外部の知見を入れるということは有効みたいですね。
また、社内だけでゴール設定をする場合は、なんとなくできそうなぬるいゴールを設定しまうこともありそうです。
外部コンサルをいれる利点として、本当にいいのか?など嫌な質問をしてくれるという点もあります。
こうして外部の力も借りながら、ゴール設定のやり方を学び、社内にフィードバックする、という循環ができれば組織は強くなりそうです。
チャレンジの場
育つ変革プロジェクトを作るには、今までも再三出てきましたがチャレンジの場を作ることが重要です。
集合研修で習ったことを、実践の場で試して身に着けている人は稀だそうです。
実際のプロジェクトを通して経験したことは身になることは、周知の事実でしょう。
こうゆうことを、社外の知見者をお手本として、それをマネしてやってみる=チャレンジすることでリーダーが育っていきます。
本書では定番のチャレンジを紹介しています。
- 議論の可視化
- 論点提示
- ファシリテーション
- プロジェクトの進め方を書く
- 優先順位の決定
- 偉い人へのプレゼンテーション
こうしたチャレンジをコンサルタントと一緒に進める場合は、お手本としてやってみて、そのあとに種明かしを行う方法があるそうです。
種も仕掛けもあるから、誰にでもできますよ、というメッセージだそうです。
こうゆう手法を取ることで、チャレンジしやすくなるかもしれませんね。
また、そもそもチャレンジできる安全な場を作る、ということが最も重要でしょう。
前述のPEACEですね。
これがなかなか難しいと感じますが、失敗しても誰も笑わない場。
これができるとチャレンジしやすいでしょう。
まとめ
本書は、随所に変革プロジェクトの事例が紹介されています。
その事例がなんとも臨場感溢れます。
現場のプロジェクトルームの様子や、議論の様子が写真として掲載されいてるためかもしれません。
こうしてみると、やはり現場での一体感というのが重要に感じます。
プロジェクトルームに張り出した、手書きのプロジェクトルーやゴール。
議論の際に書き出した、これも手書きの議題一覧。
などなど。
こうしてみると、手書きや、常に見えるようにしておく視認性の重要性を改めて感じます。
コロナ後にリモートワークが進んできましたが、便利な反面こういったことがやりずらいデメリットもあるように感じます。
リモートワーク前提の変革プロジェクトの進め方、なんていうのも聞いてみたいですね。
本書の目次
- 第1部:育つ変革プロジェクトとは何か?
- 第2部:育つ変革プロジェクトのつくり方
- 第3部:走りながら育てる
- 第4部:組織全体で学ぶ
著者の紹介
白川克さんは、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ(株)COO。
以下は、ブログのプロフィールから。
ファシリテーションを使ってプロジェクトを成功させるのが得意なコンサルタント。
これまで、IT投資計画策定、CRM、DWH、会計、ワークスタイル改革など、幅広い分野のプロジェクトにコンサルタントとして参加。
現在はプロジェクト統括の立場で、複数のお客様を担当。
「空気を読まずにお客様にとって正しいことを言い、お客様とともに汗をかいて実行しきる」がコンサルティングモットー。
他にも、複数書籍を出版しています。
特に『システムを作らせる技術』は良書。
ITエンジニア、企業の情報システム部門、企業の業務部門、全員におすすめ。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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