本書の副題は『ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』
USJをV字回復させた有名マーケターの森岡氏が、娘さんに向けてビジネスマンのキャリアについて語る本です。
社会に出て働くという意味や、その道の選び方を我が子に語り掛けるように教えてくれます。
また、著者の今までの苦難が赤裸々に紹介されており、乗り越えられない困難はないことを教えてくれます。
我が子に向けたということから、読みやすく、わかりやすい内容となっています。
就職活動中の学生向けの本と言えますが、キャリアに悩むビジネスマンにも刺さることは多くためになること間違いなしです。
この記事はどらが書きました。
著者:森岡毅氏の紹介
著者の森岡毅さんは、戦略家・マーケターとして活躍されている方です。
なんといっても、USJをV字回復させたことで有名ではないでしょうか。
当時、ハリウッド映画にこだわっていたテーマパークでしたがそこから脱却し、漫画やゲームなどをショーやアトラクションに使用することによりこれまでとは異なるファミリー層を獲得し、急成長を成し遂げました。
そんなことがあったことには気づきませんでしたが、言われてみるとある時期から
「USJ方向性変わったな?」と思うことがあった気がします。
特にマリオのアトラクションやイベントのCMを見たとき、USJっぽくないな、と思いましたがこういう経緯があったんですね。
現在は独立されており、株式会社刀の体表取締役としてマーケティングサービスを展開されていて、他のテーマパークや、企業の再建に関わっています。
西武園ゆうえんちのリニューアルにも関わっているようで、我が家の体験記の記事がありますので興味がある方は読んでみてください。
本書の内容と感想
本書に書かれている内容を紹介します。
本書は「苦しかったときの話をしようか」というタイトルから、筆者の体験談とその対処法を体系立てて紹介する本だと思っていました。
実際その話は第5章で出てくるのですが、私はそこがメインではないと感じました。
いい意味でタイトルから裏切られました。
冒頭の「はじめに」を読むとわかりますが、本書はエリートビジネスマンである森岡さんが就職活動中の娘さんに向けた、『社会とは何か』を伝えるために書きためた内容です。
第1章~第4章まではそのメッセージ性が強く、就職活動中の学生には役に立つ内容が盛り込まれています。
私も就職活動中に本書と出会っていればな、と思うくらいです。
今、現役のビジネスマンとしても刺さる内容は多々あります。
もしかすると就職活動中の学生より刺さる内容は多いのかもしれません。
色々と社会を経験した結果、本書を読むととても納得感があり考えさせられるものがあります。
子を持つ親としても、今後社会に出るであろう子供に対して伝えたくなる内容が多くあります。
どのタイミングかは考えなければいけないですが、いつか我が子にも伝えようと思います。
本書の目次
- はじめに 残酷な世界の“希望”とは何か?
- 第1章 やりたいことがわからなくて悩む君へ
- 第2章 学校では教えてくれない世界の秘密
- 第3章 自分の強みをどう知るか
- 第4章 自分をマーケティングせよ!
- 第5章 苦しかったときの話をしようか
- 第6章 自分の“弱さ”とどう向き合うのか?
- おわりに あなたはもっと高く飛べる!
おすすめポイント
本書を読んで役に立ったと思えるおすすめポイントを紹介していきます。
おすすめポイントは以下3点です。
- やりたいことを見つける手助けとなる
- 社会の本質について知ることができる
- 自分の強みの見つけ方が分かる
それぞれ説明していきます。
やりたいことを見つける手助けとなる
就職活動中の大学生が自分のやりたいことが明確になっていることのほうが珍しいのではないでしょうか?
自分のことを振り返ってみても、ぼんやりとしか見えていなかったかな。
今でも自分のやりたいことを再確認したり考えたりすることは必要だと思います。
そんな自分のやりたいことの見つけ方を探すヒントが本書には紹介されています。
特に重要だと感じたのが以下の2点
- 自分の「軸」を作る
- 自分の「宝物」を見つける
自分の「軸」とは、自分の中にある採点基準のこと。
「安定した生活を送りたい」や「必要なスキルを習得したい」など人それぞれで違うものであり、複数あるものです。
自分を見つめなおして「軸」を探す行為は大切ではありますが、探しても見つからなかった場合はどうするか?
その場合はすべてのオプションが正解だ、と筆者は語っています。
なかなか斬新な解ですが、そういう考え方もあるのだと思いました。
ただ、今は見つからなくてもいつか見つかるかもしれませんし、見つかっていてもこれから変わることもあるでしょう。
自分の「軸」というものを意識しておくということが重要ですね。
自分の「宝物」とは、自分の特徴(≒強み)のこと。
成功とは人の強みによって生み出されます。
人の特徴は、強みとも弱みとも捉えることができます。
自分の「宝物」を認識し、強みとして活かせるよう、その宝物を磨いていくことが必要です。
「軸」と「宝物」の大切さと合わせてもう一つ重要とされているのが「職能」を選ぶ、ということ。
会社に依存するのではなく、職能(スキル)に依存すべきと語っています。
いわゆるポータブルスキルを身につけよ、ということでしょう。
ポータブルスキルは、会社が変わっても持ち運び可能な能力のことです。
会社に依存するとポータブルスキルが身につかず、会社がなくなったり、買収されたりした場合に困ってしまう。
一つの会社に勤め上げるということが少なくなってきているこの世の中では、「職能」で選ぶということには説得力があります。
社会の本質について知ることができる
本書では、世界の本質について父親が就活生の娘に向けてわかりやすく説明してくれています。
学校では教えてくれない、就活中の大学生では知りえないような社会の常識を教えてくれています。
私が学生の時代にはこの内容を知っていれば、と思う反面その時に説明されても理解できていたかな?とも思います。
社会人としての経験を得た今だからこそわかることもあるかとは思いますが、これをわかりやすく次の世代に伝えていくべきかと感じます。
私にも子供がいますが、然るべきタイミングで分かりやすく説明したいと強く思いました。
特に、資本主義の本質と年収を決める法則については学校では教えてくれないどころか、ある意味タブー化されている領域だと思います。
私自身勉強になることが多いので、正しく理解し子供の世代に伝えていきたいと思います。
資本主義は「欲」を本質としており、「競争」によって成り立っている。
資本主義は、サラリーマンを働かせて資本家が儲かる構造である。
そして、日本の教育は大量の優秀なサラリーマンを作るようにできている。
これがある意味残酷な現実である。
年収を決める法則とは、「職能」と「業界」と「成功度」によって決まります。
特に「職能」と「業界」の関係性は重要。
職能(スキル)をあげることによって給料は上がってくるが、業界によってその限界がある。
当然のことながら、儲かっている業界ほどもらえる給料が上がるということ。
その逆も然りで、同じ業界でも需要の高い貴重な職能を持ち合わせていれば給料は上がっていくということ。
就職する時はもちろん、転職する時にもこの考え方を持つことは重要ですね。
自分自身にも刺さる内容であり、これを子供に上手く伝えるのはとても難しいです。
時間をかけて自身の中でかみ砕いて伝えていけるようにしていきたい。
自分の強みの見つけ方が分かる
本書では、前述の自分の「宝物」となるべく自身の強みの見つけ方を教えてくれます。
やり方は、自分の好きな「~すること」を書き出してみる。
「~すること」ということがポイントで、「名詞」ではなく「動詞」を洗い出す。
50個から100個くらい書き出して、これを以下の3つに分類する。
- Tの人(Thinking)
- Cの人(Communication)
- Lの人(Leadership)
一番多く分類された、その人の強みとなる。
この3つは、どの職能においても重要なビジネスパーソンとしてのコンピテンシー(基礎能力)です。
Tの人は、考える力が強みになる人。
コンサルや研究職が向いている職種になる。
Cの人は、人と繋がる力が強みになる人。
営業職や広告代理店などが向いている職種になる。
Lの人は、人を動かす力が強みになる人
経営者、プロジェクトマネージャーが向いている職種
自分の特徴=強みを知ることによって、これを強化すべく、これから行う行動が変わってくることになるでしょう。
生きていく上では、この強みも変化していくこともあるでしょうが、まず現時点での強みを認識することが大事だと感じます。
これも子供に伝えて、自分の強みを知るアドバイスをしたいと感じます。
まとめ
今回は、マーケターの森岡毅さんの著書「苦しかったときの話をしようか」を要約・紹介させていただきました。
父親が娘に語りかけるように、人生の社会の縮図を教えてくれる本になっています。
就職活動中の学生はもちろん、現役ビジネスマン、子供を持つ親御さんにもお勧めです。
本書のタイトルである「苦しかったときの話をしようか」のパートを端折ってしまいましたが、森岡さんの過去の壮絶な苦難が紹介されています。
ビジネスマンであればだれもが体験する「苦しい体験」も本書を読むとたいしたことがなかったように思えます。
なにより、そういった経験があっても「きっと何とかなる」ということを教えてくれます。
紹介しきれなかった箇所にも多くの気づきが残されています。
ぜひ、手にとって感じてみてください。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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